四、メディアにおける社会的影響 『オルタカルチャー日本版』刊行後、あくまで編集部が上記項目を同書購読層にはわかるはずのレトリックであると力説しているにもかかわらず、その所説と時に矛盾するような社会的影響が出版メディアと電子メディア双方において見られたことを、ここに指摘しておきます。 a.出版メディアに関して。下記の反応がありました。 (1)平成9年11月8日発売の<TVBros>11/8-11/21号((株)東京ニュース通信社発行)では山形氏の友人であり共訳者を勤めたこともある柳下毅一郎氏が「『SF』と『小谷真理』だ。さすがは天下無敵のトラブルメーカーだけのことはある飛ばしっぷり。ここのためだけでも本買って損はしないと思うよ」(105頁)と書き、ひとまずレトリック説を支えようとしています。ただし問題項目に限って執筆者を支持した公式見解はこれだけが異様なる例外で、以後はいっさい出現しません。 (2)平成9年11月10日発売の<AERA>No.47(朝日新聞社発行)では松久淳氏が「山形浩生など、執筆者によっては目からウロコな解説が読めたりする」(75頁)と記載しております。 (3)平成9年11月15日付け<北海道新聞>夕刊掲載「星取り十番勝負」、永瀬唯氏が「『オルタカルチャー日本版』。その中身の質はどうあれ、「SF」と「小谷真理」なる項目におけるポストフェミニズムの評論家小谷真理氏の活動が実は、私的パートナーである巽孝之氏によるものとのデマゴーグは一体何だ?」と記しております。 (4)平成9年11月21日発売<WIRED>平成10年1月号(同朋社発行)では宮崎哲弥氏が「『オルタカルチャー日本版』を読んで。えーっ?!の連発。小谷真理って巽孝之自身だったの? 単なる一卵性夫婦かと思ってた。これホント? 山形センセ」(162頁)と疑問を提示しております。 (1)〜(4)の記事は、いずれも『オルタカルチャー日本版』における本件の該当箇所の記載事項が、関係者に少なからぬ影響を与えた確固たる証拠と申せます。従って、被告らは、新聞など一般に流通するメディアで事態を明らかにし、「小谷真理は巽孝之の筆名ではなく、巽真理のものであり、小谷真理と巽孝之は同一人物でもなく、小谷真理は女性であること」を知らしめ、虚偽を前提とする該当箇所を訂正し、関係者及び読者に謝罪する必要があると考えます。 |